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訪問販売

訪問販売とは
訪問販売は、古典的な悪質商法の源泉となっています。
訪問販売というと、販売者が突然、消費者の自宅に押しかけて、商品を売りつける古典的な方法を思い浮かべるでしょう。
じつは、訪問販売はそれだけではありません。
路上でいきなり、呼び止められるキャッチ・セールスや
販売以外の目的を告げて、店舗に呼び寄せて、商品を売りつけるアポイントメント・セールスなども、広い意味での訪問販売に含まれます。
 →キャッチ・セールスとアポイントメント・セールスについて


以下、訪問販売に当たるのかどうかのチェックポイントを見ていきましょう。


①当事者
・売る側の販売者等は、事業者でなければなりません。
販売者が自営業者でもない、単なる個人で、一時的に不要になった商品等を売りに来ただけであれば、販売事業者には当たりません。

・買う側の消費者等は、事業者ではない一般の消費者でなければなりません。
簡単に言うと、商品を買う側も事業者であれば、訪問販売には当たらないということになります。
なぜなら、特定商取引法は、消費者を保護するための法律であって、事業者同士の取引を規制する法律ではないからです。
つまり、事業者は、クーリング・オフという権利を行使することができないのです。


これを悪用した事例がよくあります。
例えば、開業間もない、事業者を狙った訪問販売というのがそれです。
開業したばかりの商取引の初心者であっても、事業者であることに変わりはありません。
ですから、どんなに商取引に不慣れであっても、クーリング・オフという権利を行使することはできないわけです。

但し、買う側が事業者であっても、現在、行っている事業と、まったく関係のない事業に関する取引の場合には、特定商取引法が適用される余地があります。

訪問販売の事例で、判例があります。
(事例)越谷簡判平成8.1.22---------
電話機の販売業者が、個人の理容店業者を訪問し、店名の入ったゴム印を持ってこさせるなどして理容店名で、売買契約を締結させた。
しかし、理容店業者は、以前から、電話機を利用していなかったので、
クーリング・オフしようとしたが、電話業者は、事業者間取引であるとして、クーリング・オフに応じなかった。

この事例で、裁判所は、
1、理容店業者は確かに事業者であるけれど、電話機の取引については、素人同然であること。
2、電話業者は、初めから、クーリング・オフを封じるために、店名の入ったゴム印を持ってこさせるなどしていること。
3、理容店業者はこれまで、営業に電話機を利用していなかったこと。
4、理容店業者は、個人規模業者であること。

等の事情からして、
理容店業者は、営業のために、本件電話機を購入したとは言えないと判断して、理容店側のクーリング・オフの主張が認められました。


②契約の場所
営業所等以外の場所での取引か
訪問販売は、何も、消費者の自宅で取引が行われる場合だけを指すのではありません。
店舗等営業所以外の場所で行われる取引であれば、訪問販売として扱われます。
なぜなら、店舗等営業所以外の場所での取引は、密室性が高いので、悪質な勧誘が行われやすいからです。

営業所等以外の場所かどうかは、簡単に言うと、人が自由に出入りできる場所であるかどうかで判断します。人が自由に出入りできない場所は、営業所ではありませんので、その場所での勧誘行為は、訪問販売として規制されます。

営業所等とは
①営業所
②代理店
③露店、屋台、トラック等の陳列、巡回販売
④一定の期間にわたり(2~3日)、商品を陳列し、販売する場所であって、店舗に類する場所

これらの場所は誰でも自由に出入りできますので、店舗等の営業所として扱われます。この場所で勧誘されたとしても訪問販売には当たりません。それ以外の場所での勧誘行為が訪問販売として取り扱われます。


③指定商品、指定権利、指定役務であること。
指定商品と、指定外商品がセットで販売された場合は
例えば、電話機とNTTの電話加入権がセットで販売される場合があります。
電話機は指定商品ですが、NTTの電話加入権は、指定権利ではありません。
この場合、電話機については、クーリング・オフをすることができるのは言うまでもありませんが、NTTの電話加入権については、クーリング・オフできるのかどうかが問題になります。

はっきりとした判例はありませんが、電話機とNTTの電話加入権がセットでなければ、購入する意味がないのであれば、両方とも、解約できると解するべきでしょう。

 →指定商品、指定権利、指定役務一覧

④契約の締結が行われていること
訪問販売業者が契約締結の権限を有している場合には、その場で契約が成立します。
その場合は、法定書面を渡すことになりますが、申込者は、その書面を受け取ってから、8日間のみ、クーリング・オフができることになります。

クレジット契約の場合は、通常、その場では、契約が成立しません。
クレジット契約の約款には、販売者が申込者に代わって、立替払いの申し込みを行いその契約が成立したときに正式に契約が成立したこととするとされていると記載されていると思います。
ですから、この間に契約を取り消す場合には、厳密には、クーリング・オフではなく、申し込みの撤回ということになります。


⑤適用除外に該当しないこと。
取引の外形は、特定商取引法によって規制されている訪問販売であっても、消費者を害する恐れがないために、特定商取引法の規制を受けないものとされている場合があります。

・購入者が営業の目的で締結する取引ではないこと。
営業目的で取引をする場合には、事業者間の取引になりますから、特定商取引法は適用されません。

・国外にある者に対する取引
国外にある者に対する取引には特定商取引法は適用されません。

・国、地方公共団体が行う取引

・生協、農協、労働組合等が組合員に対して行う取引
組合内部の自治を尊重するため、特定商取引法は、適用されないとされています。

・事業者が従業員に対して行う取引
会社内部のことは、会社の自治を尊重して、特定商取引法は適用されないとされています。
但し、就職商法には、特定商取引法が適用されます。
例えば、求人広告で、従業員を募集するといつわり、募集してきた人たちに、断りにくい状況の下、高額な商品を売りつける手法です。
この場合は、販売目的隠匿型アポイントメントセールスとして特定商取引法の規制を受けます。

・消費者から、販売者の来訪を要請した場合。
この場合は、不意打ち性が低いので、訪問販売には当たりません。
ただし、販売者がアポイントを取ったところ、消費者が来てくれと頼んだ場合には、消費者から来訪を要請したことにはなりません。
あくまでも、消費者が広告等をみて、自発的に、販売業者に来てくれるように頼む場合に限られます。

・御用聞き、得意先の巡回訪問など
御用聞き、得意先の巡回訪問などは訪問販売に該当しません。

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